多汗症治療で起こる副作用『代償性発汗』とは?
手掌多汗症の最終的な治療法として
胸腔鏡下神経遮断手術(ETS)がありますが
その副作用として、
高い確率で起こると言われる、代償性発汗。
代償性発汗は、発生するケースや症状も様々です。
それだけに、どこか噂のような認識の仕方で
詳しい事は分からないけど、こうらしいよ…
というような認識をしがちです。
今回は代償性発汗について、調べてみたので
お伝えします。
代償性発汗とは?
手掌多汗症をメインに、顔面多汗症や
腋窩多汗症の治療にも効果があるとされる
胸腔鏡下交感神経遮断術(ETS)の副作用として
知られている、代償性発汗(compensatory sweating)。
代償性発汗の症状の部位や程度などは個人差が大きく
一概にどこにどの程度の症状が出るとは
断言できるものではありません。
代償性発汗はナゼ起こる??
手掌多汗症・顔面多汗症・腋窩多汗症の改善に
胸腔鏡下交感神経遮断術(ETS)を受けた場合
手の汗や、顔の汗、脇の汗は術後すぐに止まるそうです。
これは汗腺に発汗の指令を促す、交感神経を遮断した事で
悩んでいた患部の汗は8~9割の確率でほぼ止まるため
その分の発汗が代償性発汗として、他の部分に移った
と思われがちですが、実際には違います。
交感神経を遮断した事で、これまでの発汗機能に
変化が起きているのは確かですが、
代償性発汗は、通常の発汗=体温調節機能
が働いて発汗します。
これまで悩んでいた患部の汗が
他の部位に流れた訳ではないんですね。
これまで働いていた交感神経がブロックされたので
発汗機能のバランスが変わり、
体温調節がうまく機能せずに誤動作している状態です。
また、代償性発汗の程度は
交感神経遮断の部位に左右されます。
手の汗に関連している交感神経は
- 第2交感神経
- 第3交感神経
- 第4交感神経
の3本の交感神経で、数が小さいほど
高い位置になります。
代償性発汗の発生を最小限に抑える為に
遮断する交感神経を出来る限り低い位置、
低位の第4交感神経を遮断する方法や
交感神経の遮断方法を切除ではなく、
クリップで挟む(再手術でクリップを外し回復できる)
方法もとられています。
代償性発汗の部位・程度は?
代償性発汗は確実に起こる、とは言えませんが
かなり高い確率で起こります。
どんな時に発汗が起きるかと言うと、
- 気温が高い環境
- 運動時
- 刺激のある物を食べた時
と言う、誰もが汗をかくような状況で発汗します。
多汗症で悩んでいた方は、患部の汗以外は気にならなかった
と言う方が多いので、術後、他の部位に今まで以上の発汗を
すると違和感や苦痛を感じる事が多くなりますが、
その発汗の程度は、汗かきレベル~多汗症レベルまで
様々です。
しかし、発汗が発生する部位には、ある程度の共通性があります。
手・顔・脇の多量の汗が止まる代わりに
- 胸
- 背中
- 腰
- お尻
- 太腿
の部分に代償性発汗をする傾向があります。
先程も書きましたが、発汗の程度には個人差があります。
一説には、左右の交感神経を遮断した場合、
手術前の全身の温熱性発汗量×1.8倍
と言う説もあります。
しかし実際には、
- 代償性発汗を全く、又は殆ど感じない人
- 発汗は増えたが気になる程ではない人
- 日中も着替えが必要なほど発汗する人
- 衣類を濡らし、座っていた椅子に水滴が
残る程の発汗をする人
この様に、代償性発汗の程度は大きなひらきがあります。
ですから、一概に
『このぐらいの代償性発汗が起こります』とは言えないんですね。
代償性発汗は、術後すぐに起こる??
代償性発汗は、 胸腔鏡下交感神経遮断術(ETS)
を受けるとかなり高い確率で起こる
と言われていますが、
どの時点から代償性発汗が始まるのでしょうか?
術後数日間の内に始まるのか、数年かかるのか…
その辺りの情報って、あまり知らない方も多いのでは
ないでしょうか。
私自身も、発症の時期は耳にしたことが無かったので
調べてみました。
調べてみると、
発症の時期と言うよりは、気になり始める時期に
個人差があるようです。
と言うのは、胸腔鏡下交感神経遮断術(ETS)を
受けたあと
数年後に代償性発汗の症状が強くなり、
気になり始める・生活しにくく感じる、という
口コミが多数 でした。
代償性発汗の症状は、術後数年の内に
寝汗がひどくなったり、胸などの胴体、
下半身などに多量の発汗をし始める等の
ケースが多く、術後の経過年数とともに
重度になっていく傾向があるようです。
代償性発汗の対策は??
代償性発汗が酷くなってしまった場合には、
どんな対策をとれば良いのでしょうか。
代償性発汗で悩んでいる方々の口コミや対策方法では
- 通常の汗かきと同じように、対処
(着替えや汗をこまめに拭くなど) - 市販の制汗剤を使用して対処
- 多汗症治療薬を内服して対処
- リバーサル手術を受ける
と言った選択肢がありました。
リバーサル手術とは
リバーサル手術は一般的に、ETS手術で切除した交感神経を
他の交感神経の移植により、再び繋ぎあわせる手術です。
これにより、代償性発汗が改善されても
局所性多汗症の症状は戻ってしまいます。
今回、様々な情報を調べている最中に見つけたのですが
山本英博クリニックでは、独自の方法で
副作用なく代償性発汗を緩和し、手汗等の局所性多汗症も
改善状態になる方法を取り入れています。
多汗症を治したい!と藁をも掴む想いで手術を受け、
代償性発汗に苦しんでいらっしゃる方は、
問い合わせてみるのも良いかと思います。
まとめ
代償性発汗は局所性多汗症の副作用として
多くの方が苦しんでいる症状でもあります。
胸腔鏡下交感神経遮断術は、こういった意味でも
『最終的な治療方法』とされている訳です。
多汗症の悩みはとても大きく、苦痛でもあります。
しかし、出来る限りの治療を受けて、それでも改善しない場合のみ
手術に踏み切る、と言う方向で改善していく方が安心です。